肺炎球菌ワクチン
1.肺炎球菌とは
肺炎球菌は主に気道の分泌物に含まれ、唾液などを通じて飛沫感染し、肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、敗血症、髄膜炎などの重篤な感染症を引き起こす細菌です。特に高齢者や免疫力が低下した人(糖尿病、悪性腫瘍、免疫抑制剤、ステロイド治療中など)、慢性疾患をもっている(慢性心疾患、慢性肺疾患、慢性腎臓病など)、喫煙者にとって、肺炎球菌感染症は命に関わるリスクが高いため、予防が非常に重要です。
2. 肺炎球菌ワクチンについて
現在、日本で利用できる肺炎球菌ワクチンには、「ニューモバックス®︎」「プレベナー®︎」「バクニュバンス®︎」の3種類があります。
ニューモバックス®︎
ニューモバックスは23種類の肺炎球菌血清型に対応しており、定期接種で使用されます。このワクチンは、長い歴史があり、幅広い血清型に対する予防効果が期待され、23種類の血清型は成人の重症の肺炎球菌感染症の原因の64%を占めるという報告があります。ただ、免疫応答が比較的弱い高齢者や免疫抑制状態の人においては、その効果が十分でないことが指摘されています。
プレベナー®︎
プレベナーは、ニューモバックスと共通する12種類と、もう一種類(6A)に対するワクチンで、小児から高齢者まで推奨されています。プレベナーは、結合型ワクチンであるため、より強い免疫応答を引き起こし、長期的な予防効果が期待されます。また、プレベナーは侵襲性肺炎球菌感染症に対して非常に高い予防効果を持つとされています。
バクニュバンス®︎
バクニュバンスはプレベナーの含有血清型に加えて、22F、33Fの2血清型が追加されており、その2血清型に関して優位性を示されています。さらに、バクニュバンスはプレベナーに対し、血清型3に対しても優位性が示されています。
表 肺炎球菌ワクチンに含まれる血清型
(https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/72/rr/rr7203a1.htmを改変)
3. 肺炎球菌ワクチンをどのように接種するべきか
肺炎球菌ワクチンの接種においては、ニューモバックスとプレベナー/バクニュバンスを併用する方法が推奨されています。通常、ニューモバックスの接種は5年以上の間隔をあけて再接種が推奨されており、プレベナーとの併用で効果を高めることができます。
4. 名古屋市の助成システム
名古屋市では、一定の条件を満たす高齢者に対して、肺炎球菌ワクチンの接種費用に対する助成制度が提供されています。対象となるのは、名古屋市に住民票があり、65歳以上の方や特定の疾患を持つ方です。この助成により、予防接種の費用負担が半額に軽減されます。
肺炎球菌ワクチンをご希望の方は、お気軽にご相談ください。