IgA腎症
IgA腎症(アイジーエーじんしょう)は、慢性の糸球体腎炎の一つで、日本人に最も多い腎臓の病気です。尿検査で「血尿が出ている」「タンパク尿がある」と言われて受診された方の中に、このIgA腎症が見つかるケースが多くあります。
私たち「リウゲ内科小田井クリニック」では、腎臓内科専門医による丁寧な診察と、病気の進行を抑えるための適切な治療と生活指導を行っています。長期的な経過観察が必要となるこの疾患に対して、患者さんと二人三脚で向き合ってまいります。
IgA腎症の症状について
IgA腎症は、症状がはっきりと出にくい病気です。そのため、学校検尿や職場の健康診断などで偶然見つかることがよくあります。
以下のような所見・症状がみられることがあります。
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血尿(目で見えないことが多いが、時に風邪をひいたあとに肉眼で見える血尿が出ることも)
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タンパク尿
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むくみ
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高血圧
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疲れやすさ・だるさ(進行すると)
血尿やタンパク尿があるだけで、自覚症状が乏しい方も多いため、「放置してしまった」「何年も受診していなかった」というケースも少なくありません。
IgA腎症の原因について
IgA腎症の「IgA」は、免疫グロブリンAという免疫物質のことです。本来、IgAは体内に侵入したウイルスや細菌を防ぐ働きがありますが、何らかの理由で異常なIgAが作られ、それが腎臓の糸球体(血液をろ過する部分)に沈着し、炎症を起こします。
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。
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遺伝的素因
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感染(風邪、扁桃炎など)
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腸内環境の異常
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免疫の異常な反応
扁桃腺の炎症と関連があることも分かっており、「風邪をひいた後に血尿が出る」ような方はIgA腎症の可能性を考える必要があります。
IgA腎症の診断と病型分類について
IgA腎症の確定診断には、**腎生検(じんせいけん)**が必要です。これは、腎臓の組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる検査です。名古屋医療センターなどの連携病院にて実施し、その後当院での継続治療が可能です。
診断後は、「病気の重症度」や「進行のリスク」を判定するため、次のような要素を総合的に評価します。
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尿のタンパク量
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血圧
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腎機能(eGFR)
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血尿の有無
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病理所見(MEST-C分類など)
病型によって、治療方針が大きく変わります。
IgA腎症の治療法について
IgA腎症の治療は、「腎機能の低下をできるだけ防ぐこと」「末期腎不全(透析)を避けること」を目的に行います。
当院では、日本腎臓学会のガイドラインに基づいた治療を行っています。
保存的治療(軽症~中等症)
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降圧薬(特にARBやACE阻害薬)
タンパク尿を減らす効果があり、腎臓を守る目的で使用します。 -
減塩食(1日6g未満)
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禁煙・適度な運動など生活習慣の改善
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定期的な検査と経過観察
積極的治療(進行リスクが高い場合)
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ステロイド療法(副腎皮質ホルモン)
尿タンパクが多い、または腎生検で活動性が高い場合に検討されます。 -
扁桃腺摘出+ステロイドパルス療法
比較的新しい治療法で、特に若年者や早期の方に効果があるとされます。
※治療選択は、病気の進行具合や全身の状態を考慮しながら、患者さんとご相談のうえ決定します。
IgA腎症についてのよくある質問
Q1. IgA腎症は治る病気ですか?
A1. 完治が難しい場合もありますが、早期に発見して治療を始めることで、腎機能を長く保つことができます。中には寛解(たんぱく尿や血尿が出なくなる状態)に至る方もいます。
Q2. 生活で気をつけることはありますか?
A2. 食事の塩分制限、禁煙、適度な運動など、日常生活の改善が進行予防に役立ちます。また、風邪や扁桃炎を放置せず、早めに治療することも大切です。
Q3. IgA腎症から透析になることはありますか?
A3. はい、進行性のタイプの場合、10〜20年後に腎不全に至るケースもあります。ですので、長期的な経過観察と適切な治療が重要です。
院長より
IgA腎症は「静かに進行する腎臓病」と呼ばれるほど、初期には気づかれにくい病気です。当院では、腎臓内科専門医が一人ひとりの患者さんに向き合い、分かりやすく丁寧に説明しながら治療を進めていきます。
名古屋市西区・庄内緑地公園駅近くというアクセスの良い立地にありますので、「学校検尿で指摘された」「健診でタンパク尿が出た」など、些細なきっかけでもお気軽にご相談ください。小さな異常でも、早めの受診が将来の健康につながります
文責:リウゲ内科小田井クリニック 副院長 龍華章裕
