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夕方のタンパク質摂取は夜間頻尿に影響する?

[2024.10.16]

夜間頻尿は外来で患者さんに相談される症状の一つです。実は、最近自分も妙に寝る前にトイレに行きたくなる日が何日かありました。考えてみると、それは夕食時にプロテインを飲んだ日な気がします。昔も同様のことがありまして、学生時代にラグビー部に所属していた自分は、週3回筋トレをしては毎日のようにプロテインを飲む(しかも1日1杯では終わりませんでした、、、)というのをルーチンにしていて頻尿に困っていました笑 ただ、その時は水の飲み過ぎかな、くらいに解釈していました。

ところが、腎臓内科になって、(ICUなどで水を飲めない状況において)蛋白投与が過多になっている症例で水分の利尿が増えて身体を相対的に濃くなってしてしまう(高Na血症の)症例にかなり遭遇し、かつ蛋白摂取量を相当増やして多尿になった症例報告を見て、当時の頻尿はプロテインによるものだったのでは?、と改めて認識したのでした。ちなみに、これは、蛋白質が分解されるとUreaという浸透圧物質になって、それが尿から排泄されるときに水を引っ張るため、利尿が増えるというのが機序になります。

夜間頻尿は、患者さんにとっても大きな問題(転倒・骨折のリスクが報告)なので、実際に、そういうのを調べた文献はあるのか?ということで調べてみました。

Alwis US, et al. Could Evening Dietary Protein Intake Play a Role in Nocturnal Polyuria? J Clin Med. 2020 Aug 5;9(8):2532

尿素は、尿の浸透圧に最も多く寄与する要素であり、最も豊富に存在する物質である。尿中の尿素排泄は、食事中のタンパク質摂取と強く関連している。したがって、高タンパク質食による尿中の尿素排泄の増加は、尿素誘発性の浸透圧利尿を引き起こす可能性がある。本研究は、夜間頻尿(NP)と尿素の関連を探ることを目的としている。これは、2011年10月から2015年2月までの間に腎機能プロファイルを完了した被験者(n = 170)を対象とした前向き観察研究の事後解析である。各被験者は24時間の尿収集を行い、3時間ごとに8回の尿サンプルを採取した。尿量、浸透圧、クレアチニン、尿素、ナトリウムが測定された。尿中の尿素排泄量は、食事中のタンパク質摂取量を推定するために使用された。対照群と比較して、NPを有する被験者は夜間の尿素およびナトリウム排泄が有意に高かった。推定される夕方のタンパク質摂取量もNPサブグループで有意に高かった。夜間の利尿速度は、NP被験者において年齢、夜間の自由水クリアランス、クレアチニンクリアランス、ナトリウム排泄、尿素排泄と正の相関を示した。したがって、夜間の尿中の尿素排泄の増加は、過剰な夜間尿産生による夜間頻尿の重要な媒介因子である可能性がある。

◾️コメント

やはり、夕食時のタンパク摂取は夜間頻尿に関連するようです。寝る前の水分摂取、塩分の摂りすぎ、アルコールだけでなく、夕食時のタンパク摂取も注意せねばなりませんね。ちなみに、この論文の面白いところは、夜間頻尿群の方が一日の蛋白摂取量は少ないところにあります。なので、1日の摂取量ではなく、いつ摂取するかを意識することが大切です。フレイルが問題視され、蛋白質摂取が重要視されているので、気をつけていきたいですね。

愛知県名古屋市西区
リウゲ内科小田井クリニック
副院長 龍華章裕 (総合内科専門医、日本腎臓学会専門医、日本透析医学会専門医)

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