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歯周病と糖尿病の双方向の関連: コホート研究に基づくシステマティックレビューおよびメタアナリシス

[2024.09.11]

糖尿病と歯周病の関連性はよく言われています。、先日、歯科医と薬剤師の先生方とご一緒する機会があって、その重要性について改めて話を伺う機会があって、とても重要視されていたので、今日はその関連を示した論文を読んでみました。

Stöhr J, et al. Bidirectional association between periodontal disease and diabetes mellitus: a systematic review and meta-analysis of cohort studies. Sci Rep. 2021 Jul 1;11(1):13686.

歯周病が糖尿病と関連していることが報告されている。しかし、その関連の方向性やバイアスの影響は明確ではない。したがって、このシステマティックレビューおよびメタアナリシスの目的は、原著論文のバイアスリスクを考慮した上で、歯周病と糖尿病の双方向の前向きな関連について既存の証拠をまとめることである。文献検索はPubMedおよびWeb of Scienceの電子データベースを対象に、2021年2月9日までに実施された。我々は、糖尿病と歯周病の前向きな関連、またはその逆の関連を調査した観察研究を含めた。主要研究のバイアスリスクは、予後研究の質(QUIPS)ツールを使用して評価された。ランダム効果モデルを用いて、95%信頼区間(CI)付きの要約相対リスク(SRR)を算出した。また、異質性と結果の頑健性を調べるためにサブグループ分析が適用された。最終的に、15件の研究が含まれた。歯周病患者と非歯周病患者を比較した場合の糖尿病発症リスクのSRRは1.26(95% CI 1.12, 1.41; I2: 71%, n = 10; 参加者数 = 427,620; 特定された症例数 = 114,361)であった。糖尿病患者と非糖尿病患者を比較した場合の歯周病発症リスクのSRRは1.24(95% CI 1.13, 1.37; I2: 92%, n = 7; 参加者数 = 295,804; 特定された症例数: 22,500超)であった。バイアスリスクで層別化した後のサブグループ間で有意な差は見られなかった。結果は、歯周病と糖尿病の間に正の双方向の関連があることを示しており、したがって、歯周病患者に対する糖尿病のスクリーニング、およびその逆のスクリーニングの必要性を強調している。この研究の主な限界は、疾患診断の評価方法が異なるため、研究間で説明されていない高い異質性が存在する点である。

◾️コメント

歯周病になると糖尿病のリスクが26%増加し、糖尿病になると歯周病のリスクが24%増加するようです。そして、歯周病のスコアが悪い人ほど糖尿病のリスクが上昇するようなので気をつけないといけませんね。これは、血糖コントロール不良は、歯周ポケットの炎症性サイトカインが増えてしまい、その結果歯周病が悪くなってしまうというのと、歯周病は炎症性サイトカインの誘導を起こしてインスリンを効きにくい状況にする、というのがあるようです。

ところで、研修医になったばかりの時、指導医の先生が、「口の中が汚い人は肺炎や心内膜炎になるから口の中を綺麗にすることはとても大切なこと」と教えてくれました。医師15年目になったある時、病棟でどんな抗菌薬を使ってもどうしても炎症反応が改善しない肺炎の患者さんがいて、感染症専門の先生に相談したら、口腔内ケアを徹底したら?と提案を受けて、いつも嚥下のこととかを教えてくださった言語聴覚士の先生に口腔ケアのやり方を教えてもらい、毎日徹底して行ったら、みるみる炎症反応が改善し本人も元気になって感動したのを覚えています。口腔ケアとの因果関係があったのかわかりませんが、これからの臨床でも意識を高めていこうと思います。歯周病は誤嚥性肺炎のリスクを増やすとも言われてますし、歯のことが気になる方は、歯医者さんとの連携もできますのでお声がけいただければと思います。

愛知県名古屋市西区
リウゲ内科小田井クリニック
副院長 龍華章裕 (総合内科専門医、日本腎臓学会専門医、日本透析医学会専門医)

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