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閉塞性睡眠時無呼吸症候群は糖尿病予備軍・2型糖尿病の進行に関連するか?

[2024.09.09]

最近、耐糖能異常のある方や糖尿病の方が、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を心配されることが外来でしばしばあって、改めて文献的でこのテーマを調べてみました。

Wang C, et al. Obstructive sleep apnea, prediabetes and progression of type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis. J Diabetes Investig. 2022 Aug;13(8):1396-1411.

目的/序論:閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)患者が糖尿病予備軍および糖尿病のリスクを高めるかどうかは未だ明らかでない。本研究の目的は、既存の研究をメタアナリシスで評価し、OSAと前糖尿病および糖尿病の関係、さらにOSAの重症度が糖尿病に与える影響を分析することである。

材料と方法:2011年1月から2021年7月までのPubMed、EMBASE、Cochraneデータベースを検索し、OSAと空腹時血糖異常、耐糖能異常、糖代謝異常、糖尿病との関連を分析した。固定効果またはランダム効果モデルを用いてオッズ比を推定し、25件の研究、合計154,948人のOSA患者を含む分析を行った。

結果:OSAは空腹時血糖異常、耐糖能異常、糖代謝異常、糖尿病のリスクを高めることが確認された。統合オッズ比はそれぞれ2.34(95%信頼区間[CI] 1.16-4.72)、1.58(95% CI 1.15-2.15)、1.65(95% CI 1.12-2.42)、2.15(95% CI 1.68-2.75)、および3.62(95% CI 2.75-4.75)であった。性別によるサブグループ分析では、OSAがリスク要因であることが確認され、男女間に有意差はなかった。OSAの重症度が糖尿病のリスクを増加させることが示された。

結論:OSA患者における前糖尿病および糖尿病の発症リスクは高かった。

◾️コメント

SASでは、交感神経が活性化したり、コルチゾールなどのストレスホルモンが過剰に分泌されるので、それによって血糖値が上昇したり、脂肪が増加しやすくなります。さらに成長ホルモンの分泌が低下して、筋肉が減って脂肪が蓄積されやすい状態になり、脂肪が増えると体内のインスリンが正常に働かなくなってしまい、これらのことが総合的に絡みあって糖尿病が悪化する言われています。さらに細かいメカニズムについては、第二服部医院の宮内隆政先生がまとめられています。

興味深いのは、多くの過去の研究で肥満に関連する因子でこの関係を調節しても、SASと糖尿病リスクの増加は関連することがわかっているようで、やはりSASそのものをきちんと対応した方が良いかもしれません。

愛知県名古屋市西区
リウゲ内科小田井クリニック
副院長 龍華章裕 (総合内科専門医、日本腎臓学会専門医、日本透析医学会専門医)

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